2011年05月31日

第12章 本当に大切なもの



無くてはならぬものは一つだけ?
 「あなたは多くのことに心を配って思いわずらっている。しかし、無くてならぬものは多くはない。いや、一つだけである」。(ルカによる福音書10:41〜42、口語訳)
 私たちに必要なもの、無くてはならぬものは何でしょうか? いろいろな答えがあるでしょう。まず、食べ物、水、空気など、生きていく上で必要なものがあります。お金も必要ですし、仕事も必要です。よい人間関係も必要でしょう。自分の夢や仕事のビジョンの実現を必要と考える方もいるでしょうし、心の満足や充足感を挙げる方もいるでしょう。そういう考え方からすると「無くてはならぬものは一つだけ」という聖書の言葉はいかにも現実離れしているように聞こえるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。

金銀宝石は、無くてはならないものでしょうか


なぜ地球は温かいのか?
 最近読んだ本の中に、こういう話がありました。太陽があって、地球があります。そして多くの人は、太陽が明るいから地球が明るい、太陽が温かいから地球が温かい、と思っています。しかし、もし太陽が温かいから地球が温かいのだとしたら、日本で一番温かいのは太陽に最も近い富士山の頂上になります。世界で一番温かいのは、エベレストの頂上になります。でも、実際はエベレストの頂上は一年中雪に覆われています。ということは、太陽が温かいから地球が温かい、という簡単な話ではないのです。実は、地球が温かいのは、地球に空気があるからなのです。その空気が、太陽からやって来る光や熱を反射する。当然、空気が薄い高い山の頂上は寒くなります。つまり、地球には空気があるから、太陽の恵みを受けることができるわけです。

考えることと感謝すること
 この話は、大切なことを私たちに教えてくれます。イエス・キリストは「父[=神様]は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」(マタイによる福音書5:45)とおっしゃっています。神様は分け隔てなくみんなに恵みを与えてくださっている、と聖書は教えています。しかし、それにも関らず愚痴や文句、不平不満ばかり言っている人、人のことをうらやましがってばかりいる人というのがいるものです。雪に覆われた山のように寒々として毎日送っている人がいるものです。しかし、聖書には「いったいあなたの持っているもので、いただかなかったものがあるでしょうか。もしいただいたのなら、なぜいただかなかったような顔をして高ぶるのですか」(コリントの信徒への手紙一 4:7)という言葉があります。「考える」は英語ではthink、ドイツ語でではdenkenです。そして「感謝する」は英語ではthank、ドイツ語ではdankenです。考えることは感謝することへとつながるのです。不平不満や愚痴を口にしがちな私たちですが、しかし、もし、よく考えてみるなら、「神の恵みによって今日のわたしがあるのです」(コリントの信徒への手紙一 15:10)ということに気づくのではないでしょうか。


本当に大切なもの=主の福音に聞き入っている神の家族


「すべてのことについて感謝しなさい」
 聖書には「すべてのことについて感謝しなさい」(テサロニケの信徒への手紙1 5:18、口語訳)とあります。もし私たちがよく考えてみるなら、私たちの回りにあるもの、私たちが今持っているものの99%は、自分で作り出したものではなく、誰かが作ってくれたものである、ということに気付くのではないでしょうか。そして「与えられている」ということについて考えるなら、最終的には「神様が与えてくださったから」ということに行きつくのではないでしょうか。
 イエス・キリストは「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい」(マタイ による福音書6:33)とおっしゃいました。それは、いわゆる「宗教バカ」になって生活や仕事のような現実の問題を忘れてしまうことではありません。まず神様に思いを向ける。そうすると、なくてはならぬものは実はすでに与えられているのだ、ということに気付くのです。それほど多くのものを与えられているかということに気付くのです。
 無くてはならぬもの、本当に必要なものとは、実はすでにすべて与えられているということに気づくこと、それこそが「無くてはならぬもの」「本当に必要なただ一つのもの」なのではないでしょうか。

(発行) 日本基督教団 福音主義教会連合    [転載不許可]
(編集) 伝道研究委員会
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posted by 相模原教会ウェブページ管理委員会 at 00:00| 『これが知りたい12章』2